Coup de coeur
「Environnement mortel
」 | | 著者 | : Pascal Vatinel | | 出版社 | : ROUERGUE | | 本の種類 | : ソフトカバー(15x3x24) | | ページ数 | : 347頁 | | 分類 | : サスペンス小説、社会派小説、国際サスペンス、中国が舞台、お勧め本 |
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中国語が堪能で、中国に造詣の深いフランス人ジャーナリスト Thomas Kessler は、中国及び、香港などで、乳幼児の死を引き起こした、ミルクのメラニン汚染事件に深く関わっている、河北省 (Heibei) の、食品安全委員会の責任者の Ma Hongquan 自殺事件を調査するため、中国に渡る。
Kessler は、Ma Hongquan の愛人であったコールガールの Gao Pingping と会うが、その後、Gao Pingping は、姿を消し、それを不審に思った Kessler は、Gao のルームメイトであったコールガールの Wang Me i と連絡を取るが、その後、Wang Mei も姿を消す。
そして、中国人ジャーナリスト達の助けを借りて、この事件を調査してゆくうちに、Kessler は、国際的な規模の陰謀に突き当たる。
河北省 (Heibei)、湖南省 (Hunan)や、北京、などの、中国を主な舞台としているものの、その後、ジュネーブ、そして、ノルウェー領にある北極圏のバレンツ海の島の世界種子貯蔵庫へと舞台を移し、世界規模で展開する、国際社会派サスペンス小説。
冒頭に、本書は完全なフィクションだと書かれているし、人名や一部の地名は、架空であるが、ページ欄外と、巻末に書かれている綿密な注を読むと、本書が実際に起こった事実をかなり踏まえて書かれている事が伺える。
人類の未来に大きな影響を与える食品問題や、遺伝子組み換え作物を巡るストーリーは、荒唐無稽になってしまう危険を孕んでいるが、実際に起こった事件や、現実に存在する事象が、巧みにストーリーに織り込まれているため、リアリティーが感じられた。
食品の安全問題と、第三世界と先進国の関係、そして、人類の未来のあり方を問うた、斬新なストーリーも、良かったのだが、本書で最も評価したいのは、その周到な注記。
フランスで出版された小説本を読んでいると、
「日本の本なら絶対、これは地図や、注がついてるのに・・・」
と、愚痴りたくなる事が、良くあるが、本書は、その例から外れる、稀な小説本だった。 フランスで出版された小説にしては、あまりに丁寧な作りなのでなので、思わず、出版社は、どこなのかしら?と、確認してしまったくらいである。
簡単な説明は、欄外に、そして、数行に渡る細かい解説が必要な場合には、巻末に、付けられている注を読むと、作品に対する理解が深まるだけなく、中国や、環境問題の関する知識を深めることが出来る様に構成されている。 ただストーリーのみを楽しみたい人は、注を飛ばして読めばいいのだから、この、注釈の付け方は、本書を単なるエンタメサスペンスとして、楽しむための妨げにはなっていないので、この注の付け方は、フランスの大手出版社にも、是非、お手本にしてほしいものだと思った。
二人組の殺し屋、Shexie と Xiongxtong をはじめ、興味をそそられる脇役が、登場するのだが、脇役の心理描写がおざなりで、ストーリーに、上手く生かされていないのが、少々残念に思えた。
そのまま読んでも楽しめるし、注をしっかり読みながら読めば、中国や、食品安全問題に係わる知識が増えて、賢く慣れる、一石二鳥の国際サスペンスだった。
【こんな人にお勧め】
中国に興味のある方。 よく出来ている国際社会派サスペンスを読みたい方。
環境問題、食品問題に興味のある方。
【きわめて個人的な本の評価】
| 作品評価 | : | 4/5 |
| フランス語難易度 | : | 3/5 | (易<難) |
| 読みごこち | : | 4/5 | (難<易) |
【外部リンク】
本書の一部を試読出来る著者のサイトの本書紹介ページ
http://www.pascalvatinel.fr/EnvironnementMortel.html
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