「Mondial Nomade」
著者 : Philippe Pollet-Villard
出版社 : Flammarion
本の種類 : ソフトカバー(14x2x21)
ページ数 : 235頁
刑務所が民営化され、スポーツシューズのメーカーが、安い労働力確保のため刑務所を経営したり、フランスの自動車メーカーの生産拠点の海外移転に伴い、フランスの労働者がインドへ集団移住する事が日常茶飯になった、近未来が舞台。
家具を預かるための、トランクルームのチェーン会社を興し、成功を収めた、Jean-Charles Rem は、67歳を機会に、持株を売り払い、リタイヤする事にした。 そして、退職日の前日、社長室を片付けている際に、 Rem は、机の引き出しの中奥に挟まっていた一枚の古い写真を見つける。 それは、彼が若い頃、インドでバックパッカー旅行をした際の写真で、引き出しに挟まれていたため、彼と一緒に写真に写っている男の顔の部分が切れていた。
この旅行の事など、遠の昔に忘れ去っていたにも拘らず、裕福な定年退職者の一人として、リタイア生活をスタートさせた Rem は、なぜか、この写真の事が気になって仕方がなかった。
人生の黄昏に差し掛かった一人の億万長者が、若い頃、インド旅行をした際に出会った一人のフランス人ガイドと再会するため、インド旅行を企てる様子が、現在私達が暮らしている世界と、とても近い距離にある、架空の世界を舞台に描かれて行く。
資本主義社会の弊害を強調するために、近未来と思えるれる、架空の世界が舞台としているが、資本主義社会での人間の生き方にスポットを当てた、この小説は、SF小説と、呼ぶことに、大いに躊躇いを覚えるタイプの作品である。
シルバーエイジの自分探し、資本主義社会での生き方の模索という、一見すると、堅苦しくなりそうなテーマを扱っているのだが、精神安定剤と、秘書のお陰で、なんとか一角の社長としてやって来れた、どこか軸がずれている男が主人公として設定されており、語り口に、そこはかとないユーモアが漂うため、リラックした読書を楽しむ事が出来た。
ストーリーは、ほぼ予想した通り展開するのだが、それが全く、作品を楽しむ妨げにならなかったのは、著者の筆力と、作品のあちらこちらに、散らばめられた興味深い文言や、些事によるものであろう。
【こんな人にお勧め】
【きわめて個人的な本の評価】
2013年3月31日にレイアウト修正。
著者 : Philippe Pollet-Villard
分類 :
出版社 : Flammarion
本の種類 : ソフトカバー(14x2x21)
ページ数 : 235頁
刑務所が民営化され、スポーツシューズのメーカーが、安い労働力確保のため刑務所を経営したり、フランスの自動車メーカーの生産拠点の海外移転に伴い、フランスの労働者がインドへ集団移住する事が日常茶飯になった、近未来が舞台。
家具を預かるための、トランクルームのチェーン会社を興し、成功を収めた、Jean-Charles Rem は、67歳を機会に、持株を売り払い、リタイヤする事にした。 そして、退職日の前日、社長室を片付けている際に、 Rem は、机の引き出しの中奥に挟まっていた一枚の古い写真を見つける。 それは、彼が若い頃、インドでバックパッカー旅行をした際の写真で、引き出しに挟まれていたため、彼と一緒に写真に写っている男の顔の部分が切れていた。
この旅行の事など、遠の昔に忘れ去っていたにも拘らず、裕福な定年退職者の一人として、リタイア生活をスタートさせた Rem は、なぜか、この写真の事が気になって仕方がなかった。
人生の黄昏に差し掛かった一人の億万長者が、若い頃、インド旅行をした際に出会った一人のフランス人ガイドと再会するため、インド旅行を企てる様子が、現在私達が暮らしている世界と、とても近い距離にある、架空の世界を舞台に描かれて行く。
資本主義社会の弊害を強調するために、近未来と思えるれる、架空の世界が舞台としているが、資本主義社会での人間の生き方にスポットを当てた、この小説は、SF小説と、呼ぶことに、大いに躊躇いを覚えるタイプの作品である。
シルバーエイジの自分探し、資本主義社会での生き方の模索という、一見すると、堅苦しくなりそうなテーマを扱っているのだが、精神安定剤と、秘書のお陰で、なんとか一角の社長としてやって来れた、どこか軸がずれている男が主人公として設定されており、語り口に、そこはかとないユーモアが漂うため、リラックした読書を楽しむ事が出来た。
ストーリーは、ほぼ予想した通り展開するのだが、それが全く、作品を楽しむ妨げにならなかったのは、著者の筆力と、作品のあちらこちらに、散らばめられた興味深い文言や、些事によるものであろう。
【こんな人にお勧め】
シルバーエイジの自分探しを描いた小説を読みたい方。
【きわめて個人的な本の評価】
作品評価 : 4/5
フランス語難易度 : 3/5(易<難)
読みごこち : 4/5(難<易)
フランス語難易度 : 3/5(易<難)
読みごこち : 4/5(難<易)
2013年3月31日にレイアウト修正。
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