「Demain j'aurai vingt ans」
著者 : Alain Mabanckou
著者 : Alain Mabanckou
出版社 : Gallimard
本の種類 : ソフトカバー(14x3x21)
ページ数 : 382頁
1970年代のコンゴ民主共和国の Pointe-noire 。 一人っ子の小学生、Michel は、市場で落花生を売っている Pauline ママと一緒に暮らしている。 パパの Roger には、 Martine ママという第一夫人がいるので、Roger パパは、一日おきに、Michel の 家へ、泊まりに来る。
Pauline ママの兄で、熱心な共産主義者の René 叔父さん、Michel の親友の中学生の Lounès、Lounès の妹で Michel の『恋人』の Caroline、Michel の事を自分の子供と分け隔てなく可愛がってくれる Martine ママ、 Michel 以外の子供に恵まれないため、陰口を叩かれ、苦しむ Pauline ママ・・・ そんな Pointe-noire の住人達に囲まれた Michel が、理不尽な大人の理論がまかり通る社会で、精一杯、幸せを模索する様子を描いた、少年の自分探しの物語。
フランス語圏の作家の手によるアフリカ関係の小説は、かなり読んでいるのですが、その多くが内乱や、貧困に苦しむ人々を描いたものばかり。 アフリカ大陸に、そういった暗い一面がある事は、動かすことの出来ない事実だけど、アフリカには、もっと別な面があるはず。 『アフリカ=内戦or貧困』、というフランス人の間で流通している、ステレオタイプに応える為、こういった作品が多く出版されている事は、容易に察する事は出来るのですが、「No.1レディーズ探偵社」シリーズや、Alain Mabanckou 氏の「Verre Cassé」 のような、のほほんとした、アフリカの一面を描いたアフリカ小説が好きな私は、アフリカのネガティブな部分のみを描いた小説だけが、持て囃されているには、常に不満に思っていました。
『私の幼年時代の変哲もないような、事実の中から、今日自分を作家と成らしめた魔法を掘り起こそうと試みた』 Alain Mabanckou 氏の新作である本書は、そんな期待に十二分に応えたくれた、1970年代のアフリカの小学生が主人公の、普通のアフリカ人家庭の素顔が伝わってくる小説です。
幼い恋人達の恋の鞘当てや、幼い Michel の目に写る、大人達の滑稽な政治観や所作など、アフリカの村人達の、のどかな日常を、読み進んでゆくうちに、平和そうに見える生活の中に潜み、村人達の暮らしに、黒い影を落とす呪術の存在が、徐々に、浮かび上がってきます。
村人達の暮らしを、ほのぼの描いた前半も、それなりに読ませるのですが、私は、特に、作品の後半の、ごみ置き場で暮らしている Petit-Piment と Michel のふれあいを描いた下りには、大きく心が揺さぶられました。
小学生が語り手だという事もあり、読みやすいフランス語で書かれており、一章の長さも短めなので、一応『多読』に分類しましたが、総ページ382頁もあるので、フランス語の本を読みつけていない方の多読用には、ちょっときついかもしれません。
【こんな人にお勧め】
【きわめて個人的な本の評価】
【関連記事】
2013年4月13日にレイアウト修正。
本の種類 : ソフトカバー(14x3x21)
ページ数 : 382頁
1970年代のコンゴ民主共和国の Pointe-noire 。 一人っ子の小学生、Michel は、市場で落花生を売っている Pauline ママと一緒に暮らしている。 パパの Roger には、 Martine ママという第一夫人がいるので、Roger パパは、一日おきに、Michel の 家へ、泊まりに来る。
Pauline ママの兄で、熱心な共産主義者の René 叔父さん、Michel の親友の中学生の Lounès、Lounès の妹で Michel の『恋人』の Caroline、Michel の事を自分の子供と分け隔てなく可愛がってくれる Martine ママ、 Michel 以外の子供に恵まれないため、陰口を叩かれ、苦しむ Pauline ママ・・・ そんな Pointe-noire の住人達に囲まれた Michel が、理不尽な大人の理論がまかり通る社会で、精一杯、幸せを模索する様子を描いた、少年の自分探しの物語。
フランス語圏の作家の手によるアフリカ関係の小説は、かなり読んでいるのですが、その多くが内乱や、貧困に苦しむ人々を描いたものばかり。 アフリカ大陸に、そういった暗い一面がある事は、動かすことの出来ない事実だけど、アフリカには、もっと別な面があるはず。 『アフリカ=内戦or貧困』、というフランス人の間で流通している、ステレオタイプに応える為、こういった作品が多く出版されている事は、容易に察する事は出来るのですが、「No.1レディーズ探偵社」シリーズや、Alain Mabanckou 氏の「Verre Cassé」 のような、のほほんとした、アフリカの一面を描いたアフリカ小説が好きな私は、アフリカのネガティブな部分のみを描いた小説だけが、持て囃されているには、常に不満に思っていました。
『私の幼年時代の変哲もないような、事実の中から、今日自分を作家と成らしめた魔法を掘り起こそうと試みた』 Alain Mabanckou 氏の新作である本書は、そんな期待に十二分に応えたくれた、1970年代のアフリカの小学生が主人公の、普通のアフリカ人家庭の素顔が伝わってくる小説です。
幼い恋人達の恋の鞘当てや、幼い Michel の目に写る、大人達の滑稽な政治観や所作など、アフリカの村人達の、のどかな日常を、読み進んでゆくうちに、平和そうに見える生活の中に潜み、村人達の暮らしに、黒い影を落とす呪術の存在が、徐々に、浮かび上がってきます。
村人達の暮らしを、ほのぼの描いた前半も、それなりに読ませるのですが、私は、特に、作品の後半の、ごみ置き場で暮らしている Petit-Piment と Michel のふれあいを描いた下りには、大きく心が揺さぶられました。
小学生が語り手だという事もあり、読みやすいフランス語で書かれており、一章の長さも短めなので、一応『多読』に分類しましたが、総ページ382頁もあるので、フランス語の本を読みつけていない方の多読用には、ちょっときついかもしれません。
【こんな人にお勧め】
アフリカに興味のある方。 Alain Mabanckou 氏のファン。
【きわめて個人的な本の評価】
作品評価 : 4/5
フランス語難易度 : 3/5(易<難)
読みごこち : 4/5(難<易)
フランス語難易度 : 3/5(易<難)
読みごこち : 4/5(難<易)
【関連記事】
2013年4月13日にレイアウト修正。
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